薄膜の強度 - 薄膜技術入門講座 第11回 -
薄膜強度と温度
お待たせいたしました、不定期連載の薄膜技術入門講座も11回目です。
前回は薄膜を生成する前段階の準備処理に関して説明しました。
その前処理を施した基板に薄膜を生成するわけですが、第5回でも話したとおり、より強い薄膜を生成しなくてはなりません。
今回は、薄膜と基板の吸着強度を上げるための方法について見ていきましょう。
薄膜と基板の吸着強度を上げるためには、薄膜生成時の温度が非常に重要になります。
薄膜と基板の性質に依存はしますが、薄膜生成時の温度が高いほど薄膜は強度を増します。
とくにある温度以上の状態で薄膜を生成すると、その強度が飛躍的に上昇します。
この温度は、薄膜になる物質の融点などによって変化します。
温度が上昇することで、基板に到達した原子は基板上を拡散し、膜の隙間を埋め、高密度な薄膜を生成することになります。
コンタクトメタル
薄膜と基板の素材によって、薄膜の強度は大きく変わります。
例えばガラスの基板に鉄の薄膜を生成するとします。
しかし鉄(Fe)はガラスの基板に吸着しにくい物質です。
この場合よく用いられるのが、コンタクトメタルです。
コンタクトメタルとは、ガラスに強く吸着する物質で一度薄膜を生成し、その薄膜の上に、目的の物質の薄膜を生成する方法です。
例えばクロム(Cr)は、ガラスと強く吸着します。
なので、ガラス基板の上に一度クロムの薄膜を生成します。
その上で、クロム薄膜の上に鉄の薄膜を生成します。
鉄とガラスの吸着強度は弱いものですが、クロムを間に介することで、鉄とクロムが強く吸着し、またクロムとガラスが強く吸着します。
結果としてガラス基板の上に、鉄の吸着強度の強い薄膜を生成することが可能になるわけです。
ボンバード効果とイオンアシスト
薄膜の強度を上げるためには、プラズマやイオンを用いる方法があります。
薄膜を生成する基板をプラズマ中にさらすと、基板がマイナスに帯電します。
この帯電を中和するために、基板にイオンが流れ込みます。
するとこのイオンによって基板表面の付着物が放出されきれいになると同時に、イオン衝突により基板の表面温度が上昇します。
このイオンの衝撃のことをボンバード効果といい、この効果を利用して、基板表面に吸着度の強い薄膜を生成することが可能になります。
また同じイオンを用いる方法に、イオンアシストなどの方法もあります。
色々な方法がありますが、例えば基板自体にイオンビームを直接照射しながら薄膜を生成することで、薄膜の強度を向上することが可能になります。

第1回 薄膜とは
